大阪高等裁判所 昭和48年(ネ)374号 判決 1974年10月07日
昭和四八年(ネ)第三八二号事件控訴人、同年(ネ)第三七四号事件被控訴人
(以下第一審原告という。)
立共建設株式会社
(旧商号株式会社栄芳組)
右代表者
東尾芳男
右訴訟代理人
高橋悦夫
昭和四八年(ネ)第三七四号事件控訴人、同年(ネ)第三八二号事件被控訴人
(以下第一審被告という。)
中川好延
右訴訟代理人
末永善久
主文
第一審原告の本件控訴を棄却する。
原判決を次のとおり変更する。
第一審被告は第一審原告に対し金一〇五万五、〇〇〇円とこれに対する昭和四二年一一月一二日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。
第一審原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用は第一、二審を通じてこれを三分し、その二を第一審原告の、その余を第一審被告の負担とする。
この判決は第一審原告勝訴部分に限り仮に執行することができる。
事実《省略》
理由
当裁判所は、第一審原告の請求は金一〇五万五、〇〇〇円とこれに対する昭和四二年一一月一二日以降完済まで年六分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないと判断するが、その理由は、次に附加訂正するほか原判決理由と同一であるから、ここにこれを引用する。
原判決七枚目表九行目から一〇行目にかけての「原告代表者本人尋問の結果」「被告好延本人尋問の結果」の各前に「原当審」を挿入し、同七枚目裏一〇行目から一一行目にかけての「被告伊兵衛は連帯保証人として署名、押印し」を削除し、同一〇枚目裏二行目の「締結したこと、しかし」を「締結したことを前提とした上」と訂正し、同八行目の「前掲各証拠」の次に「(書証を除く。)」を、同一一枚目表一一行目の「立証は不十分であり」の次に「(かえつて、右一の(16)の事実によれば、第一審被告は注文者が第一審被告個人であることを認めていたことがうかがえる。)」を各挿入し、同一二枚目裏四行目から五行目にかけての「乙第一一、一二号証、同乙第一三号証の一、二」を「乙第一一号証」と訂正し、同六行目の「被告好延本人」の前に「原当審」を、同九行目の「原告において」の次に「費用を負担して」を、同一〇行目の「特約があつたところ」の次に「(原審証人永井敏夫の証言中この認定に反する部分は信用しない。)」を、同一三枚目表二行目の「金一五万円を」の次に「第一審被告が」を、同六行目の「支出したこと」の前に「第一審被告が」を、同一三行目の「敏夫お証言」の次に「原当審第一審原告代表者本人の供述」を、同一三枚目裏二行目の「破損したとしても」の次に「(原審第一審原告代表者本人は、昭和四二年になつてから水道管が破裂したと供述する。)を各挿入し、同五行目の「(乙第一二号証)」を「(この事実は原審第一審被告本人の供述により成立を認める乙第一二号証、第一三号証の一、二により認めうる。)」と訂正し、同一四枚目表五行目以下を次のとおりあらためる。
第一審原告は、本件工事請負契約書に添付の四会連合協定・工事請負契約約款第二五条(2)項(「引渡期日に請負代金の支払を求めても、注文者がその支払を遅滞しているときは、請負者は、請負代金額からすでに受領した金額を控除した残額について日歩一〇銭以内の違約金を請求することができる。」)に基づいて、日歩八銭の割合の遅延損害金を請求する(第一審原告昭和四七年一一月三〇日付準備書面)。
しかし、四会連合協定・工事請負契約約款第二五条(2)項の文言は明確性を欠くから(右約款には明確性を欠く条項が多い)、右条項によつて、「日歩一〇銭」又は「日歩一〇銭以内において請負者が一方的に定める額」の遅延損害賠償の額の予定の合意が成立すると認めることはできず、遅延損害賠償の額について別の合意が成立しないかぎり、請負者は法定利率による遅延損害賠償を請求することができるにすぎないと解するのが相当である。
よつて、第一審原告の本訴請求は、金一〇五万五、〇〇〇円とこれに対する遅滞後であること明らかな昭和四二年一一月一二日(訴状送達の日の翌日)以降年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余はこれを棄却すべきであり、第一審原告の本件控訴を棄却し、第一審被告の控訴に基づき原判決を変更し、民訴法九六条、九二条、一九六条を適用して主文のとおり判決する。
(小西勝 入江教夫 大久保敏雄)